観て来ました。
「良かったよ〜」とか「感動した」とか言える映画ではないです。
本当に観て来たって感じ。
ご存知のようにユナイテッド航空93便は、アメリカ同時多発テロの時に
ただ一つだけ目標に到達せずに墜落した飛行機です。
後から分かった話では、この飛行機はホワイトハウスに
突入するつもりだったようですから、もし墜落させていなかったら
とんでもない事態に発展していた事でしょう。
遺族全員に話をして映画化を承諾してもらったポール・グリーングラス監督。
目立つ俳優は一切使わずにそのとき機内で何が起きていたか
だけを忠実に描こうとした。キャスティングも実際の犠牲者と
似た人を探し、その人の癖までも再現すると言う懲りようで、
この映画を観た遺族のなかには犠牲となった本人そのものだと
涙する人もいた。
管制官には、実際現場にいた管制官も数人出演している。
この映画にはヒーローもヒロインもいない。それぞれの人を
ただひたすら追っているだけだ。あまりに淡々と描かれている為に、
テロリストさえも犯罪者と言うより一人の人間として見えてくる。
大統領の航空規制と朝の離陸ラッシュに巻き込まれて出発が
30分遅れてしまったユナイテッド93便。結果的にハイジャック
された時に、機内電話から他の飛行機もハイジャックされ
内2機がワールドトレードセンターに突入した事を知る。
団結してハイジャック犯に立ち向かおうとする乗客。
機内の様子を地上に伝えようとするキャビンアテンダント。
(乗務員の話はあまり出ていないが)
空の上で何が起こっているか掴もうとする管制官達。
異常に気付き攻撃許可を取ろうとする空軍。
使命に基づきホワイトハウスに向うテロリスト達。
それぞれの気持ちや思惑が入り混じった緊張感の中で
ストーリーは淡々と進んでゆく。
テロリストの隙を見て反撃に出た乗客たちの勢いに負けて慌て、
突入を断念して墜落させようとするテロリスト。
結果は既に知っているのに、早くコックピットに入って
操縦桿を上げろと思わず力が入ってしまう。
エンドはあまりにも現実過ぎて、自分の無力感を感じてしまう。
この映画はあくまでも想像の世界です。乗客や乗務員からの
電話で聞いた話をもとに、こうだったのだろうと言う状況を
再現したドキュメントのような物です。
でも、どこかが違うとか違わないとかではなく、こうだったのだろうと
素直に受け止められます。
絶対に観たほうが良いとは言いません。
まだ公開には早すぎると言う声も沢山あります。
でも、このテロに関心があって、ユナイテッド93便の犠牲になった
乗客・乗員40人の行動を見とどけたいと思うのなら見るべきです。
大阪では9月8日までしかしていません。(於:梅田OS劇場)
改めて、ユナイテッド93便の犠牲者を初め、テロで犠牲になった
数多くの犠牲者の冥福をお祈りします。
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今日で五年ですね。日本ではヒットしているようで、多くの人が娯楽作品でないこの映画を見てくれた事を誇らしく思います。
TBありがとうございました。
本当に感動とか良かったとかいう事とは全く別次元にあるような作品でしたね。
遺族の方への配慮に溢れた真摯な作品作りだったと聞いています。
5年前を忘れないためにもやはり多くの人に見ていただきたいなと思いました。
本当に映画としては、主人公もいないし大きな盛り上がりも作っていない
ドキュメントに徹したものでしたね。
みんなに勧められるのもではありませんが、関心のある人には記録の一つとして
見て欲しい映画です。
>ミチさんもコメントありがとうございます。
見終わった後、映画を観てすっきりといった感情は出てきませんでした。
こういう映画を作って残す事で記憶が風化しないようにしたことは良かったと思います。
遺族の方との相互理解が出来たからこそ作れた映画なのでしょう。