2008年02月28日

Bjork『Volta』Tour 大阪城ホール

ビョークのライブ
単独ライブとしては、日本は6年ぶり。大阪は、なんと12年ぶりとなる。
待ちに待ったライブは、期待以上のものでした。

2007年2月25日(日)
早めに大阪城ホールについて、ゆっくりとビョークを待った。
ステージは思ったよりも小さく、両袖を黒い幕で覆って
ホールの短編を更に狭くしている。
開演時間に近づいてくると、さっきまでの音楽とガラッと変えて、
突然ネーネーズに変わった。
今回の『Volta』がやや民族的な音になったいるから、日本らしい音といえば
沖縄音楽と言うことになったのかも知れない。

開演後は避難誘導灯の明かりも消してしまうとのアナウンス。
やっと消防も認めるようになったのかと、ちょっと感心した。
お蔭で、光るイヤリングをつけて来た男の子が注意されて
外させられていた。ちょっと可哀相だった。

開演時間を過ぎると、機材以外はガランとしていたステージに
旗が立てられ、天井からは魚の絵が書かれた大きな旗が降りてきた。
そろそろ来たか!
Voltaのイメージになってきたぞ。

20分くらい過ぎた頃に突然灯りが消えた。
瞬間、場内から歓声が上がる。
ブラス隊の音が聞こえ、入場行進のようにメンバーが入ってくる。
所定の位置に付いたところでビョークの登場だ!
オープニングは勿論アルバム『Volta』のトップの曲「Earth Intruders」
ステージの両サイドから火柱が上がった。
えっ!ホールで火を出しても良いの?

ビョークは、金色のふっくらとした衣装で、額には赤と緑で
V字型にペイントをしている。
会場に響き渡る重低音と電子音は相当な音量だったが、
ビョークの声の方がそれを圧倒していた。
小さな体ながら右へ左へと移動しながら踊っていた。
ドラムをリードするかのように両手で叩くような仕草をしている。

今日が終ると「アリガト」と覚えてきた日本語で挨拶。
その後も曲が終るごとに、この「アリガト」をビョークなりに
少しずつ気持ちを変えて言っていました。
MCは全くない。

次は何かと構えていると、懐かしいイントロ。
2曲目ですぐに『Hunter』が出た。
途中でステージサイドに行ったかと思うと、歌舞伎のように
手から「くもの巣」を出した。
『Hunter』にちなんでくもの巣で獲物を狙っていると言うことか。

この辺りはまだみんな、ビョークを生で聴いたという感動で
余裕もなく与えられるままに聞いていると言った感じだった。
次に神聖な悲しげな音が流れ来た。
『Pagan Poetry』だ。
後ろにいた女の子が思わず「泣くかも知れん。。。」と言った。
まさにそうだろう。
僕も聴きたかった曲の一つだった。
静かに抑えながらも、心の叫びのようなビョークの声が、
ホール全体に染み渡ってきた。

結果として、最新アルバムの『Volta』中心の選曲ではなく、
過去のアルバムからも満遍なく構成されていた。
後から調べてみると、武道館の2日と大阪城ホールでの計3回の公演の
セットリストはすべて違っており、中でも同じ武道館の2回は
18曲中7曲が変わっていたようです。
衣装の方も3回とも違うようだ。

ステージの上に3台のモニターが置かれていて、よく見えなかったが
バックメンバーの演奏、特に新しい楽器の「reactable」を
映していた。
僕は、ミキサーの横のほうだったので、場内の後方モニターが見えた。
こちらは、ビョークを中心として映し、時々それにメンバーの
演奏を被せたりしてモニター映像までも即興でアートワークをしている。
このチームはどこまで凝っているんだろうと感心した。
それとDSでもやって遊んでいるかのようにも見える「TENORI-ON」も
面白い楽器だった。
何がどうなっているのか分からなかったが、後からネット調べると
ようやくその演奏の仕方が分かった。
感覚だけで演奏する楽器ですね。その人のセンスが問われます。
これらの珍しい楽器についてはまたいずれ触れることになるので、
今日のところは詳細については書きません。

既にビョークワールドに入ってしまった。
音楽にあわせてみんなそれぞれに踊っていた。
狭いながらも思い思いに体を揺すっている。

ブラスがメインかと思ったのだが、意外とそのブラスが主張しない。
ストリングスで演奏されていた曲も、ブラスで見事にアレンジされて
全く違和感を感じない。
チェンバロが出てきたときには、チェンバロ好きの僕としては、
違う意味で感動してしまった。

ビートの聞いた激しい音でありながら、暴力的な感じを受けないのは、
ビョークの声がすべてを支配しているからなのだろう。
最新の機材で電子音を奏でても、冷たく乾いた音ではなく、
心に素直に入ってくる。
激しい曲の時には、レーザー光線が飛び回っているのだが、
実はホールの天井に図形を描いていたりする。
どこまでも計算しつくされた演出なのだ。

前半は、どちらかと言うと聞かせていたようだ。
まだみんなもほぐれていないから丁度良い。
それも計算した上の選曲なのだろう。

「Army of me」が流れると、ホール全体がダンスホールのようになり、
大阪城ホールが揺れているようだった。

そこで一息入れて「みんな踊る?」
「アリガト」「ドウモ、アリガト」以外で、初めて言葉を発した。
「I Miss You」は、ちょっとリラックスしたような曲で、
しばしの休憩と言うか、体と気持ちをほぐしてくれた。

後半は昔の曲を続けて、みんなの気持ちをまとめて引っ張って行ったようだ。
馴染みのある曲は、その世界に入りやすい。
頭がすっかりビョークの世界で満たされたところで、新しいアルバムから
「Wander lust」を歌い、フィナーレへと導いていった。
曲のテンポと勢いが増して自然とみんなの気持ちが一つに集中してくる。
実に見事なステージの構成だ。
望むような形で、ライブを楽しめるように導かれていった。
ビョークもそれに応えるように更に魂がこもってくる。
誰もが自分のビョークを感じ、楽しんでいる。

ここまで来れば、後は行くところまで行くしかないでしょう!

「Hyperballad」が始まると、もうみんなじっとしてはおれない。
少し抑えた軽快なリズムに乗って、盛り上がってくるサビのところを
今か今かと待っているようだ。
準備は出来てるぞ。さぁ、いつでも来い!といった具合だ。
そして、サビに入ってくると気持ち良く体が反応する。
ビョークの優しい声に包まれて、時間が永遠に流れるような気がする。

最後は定番中の定番(らしい)
歪んだ激しい音のイントロ。
「Pluto」
もうフルスロットルで突っ走る!
バックの音も凄いが、ビョークの声はまだこんなに出るのかと
思うほどに凄さがあった。
音と光が交差して、魂も宙を飛び回るかのごとく踊りまくる。
感動と興奮の中、無情にも曲が終ってしまった。

鳴り止まない拍手と、どこか魂が抜けたようになって座り込むひともいた。

結構時間をかけてアンコールに突入。
1曲目は、アテネオリンピックの時に歌った「Oceania」
そして最後は、『Volta』の中で一番メッセージ性が強く激しい曲、
絶対に聞きたいし、必ずすると思っていた曲。
「Declare Independance」
ガンガン響く重低音と電子音
「独立を宣言しよう!(自立しよう)」と叫ぶビョーク。
これはコソボに向けて送られたらしいのだが、逆にその為に
セルビアでの公演が中止になったと言う曰く付きになってしまった。
「旗を揚げよう!」「もっと高く、高く!」
僕も一緒になってこの「ハイヤー!ハイヤー!」と叫びながら
拳を突き上げていた。
このまま大阪城ホールがぶっ飛ぶんじゃないかと言うくらいに
盛り上がっていた。
最後は、紙吹雪が風に舞って、ライトに照らされると金箔が
飛び回っているようだった。
レーザーも飛び交い、あるものすべてが動き回っているようだ。

ライブが終ると、席にへたり込んでいる人もパラパラと見かける。
みんなエネルギーを使い果たしてしまったかのようだった。
時間としては1時間20分くらいと、最近のライブにしては
短い方なのだが、内容の濃さからもそんな時間のことは感じさせない
充実したライブだった。

今回のライブで驚いたのは、大阪城ホールでもあんな良い音が
出せるんだということだった。
通常はどでかいスピーカーがステージ脇に聳え立っている物だが、
ビョークのライブではスピーカーはすべて天井から吊り降ろされていた。
大きさもどちらかと言えば細い。
すべて同じサイズのスピーカーで構成されており、両サイドに
正面に向って7〜8メートルくらいに連結された物、正面から
30度くらいの向きに5メートルくらいの物、更に30℃くらいに
3メートルくらいの物。
この3列x2のスピーカーから音が出ていた。
結果的に、音がステージより上から出ている感じはしたが、
それによって音がホール全体によく廻っている気がした。
残響時間の短い大阪城ホールは、一般的には響かないといわれて
いるのだが、このライブでは適度に響いていた。
エンジニアの力によってこれほどまでに音が変わるのかと
驚いてしまった。
あれだけの重低音を出しても、全く音がビビルことなく、
綺麗に伸びていたのも素晴らしかった。

最後に武道館と大阪城ホールでのそれぞれのセットリストを
紹介しておきます。
個人的には、一番聞きたかった「Bachelorette」をしなかったのは
残念だった。(武道館の2回目にやっていた)


Bjork『Volta』Tourのセットリスト

2008年2月19日(火)日本武道館

01. Intro - Brennið Þið Vitar
02. Earth Intruders
03. Hunter
04. Aurora
05. All Is Full Of Love
06. Pagan Poetry
07. Unravel
08. Vertebrae By Vertebrae
09. Jóga
10. Desired Constellation
11. Army Of Me
12. I Miss You
13. Five Years
14. Vökuró
15. Wanderlust
16. Hyperballad
17. Pluto

encore
18. Oceania
19. Declare Independence


2008年2月22日(金)日本武道館

01. Intro - Brennið Þið Vitar
02. Earth Intruders
03. Hunter
04. All Is Full Of Love
05. Unison
06. Immature
07. Vertebrae By Vertebrae
08. Jóga
09. Hope
10. Desired Constellation
11. Army Of Me
12. Bachelorette
13. Who Is It
14. Cover Me
15. Wanderlust
16. Hyperballad
17. Pluto

encore
18. Anchor Song
19. Declare Independence


2008年2月25日(月)大阪城ホール

01. Intro - Brennið Þið Vitar
02. Earth Intruders
03. Hunter
04. Pagan Poetry
05. Immature
06. Undo
07. All Is Full Of Love
08. Pleasure Is All Mine
09. Hidden Place
10. Desired Constellation
11. Army Of Me
12. I Miss You
13. Who Is It
14. Vökuró
15. Wanderlust
16. Hyperbalald
17. Pluto

encore
18.Oceania
19.Declare Independence


メンバー

Bjork : Vocal
Mark Bell : Electronics, Tenori-on
Damian Taylor : Electronics, Reactable
Jonas Sen : Harpsicode, Pipe Organ
Chris Corsano : Drums
Wonder Brass Girls(アイスランドからの10人の女の子)
posted by ツボ at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽は楽しい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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