持ち帰ったカプセルから微粒子が検出され、それが「イトカワ」の
ものであるか解析が行われていたが、昨日になって「イトカワ」
由来のものと判明した。
奇跡が奇跡を呼んで実現した素晴らしい出来事です。
カプセルの中をへらでかき集められた微粒子は、電子顕微鏡で
解析されて、それが地球上の物質ではないことを突き止めた。
10ミクロン以下の微粒子というから、我々の頭では理解できない
くらいの小さな物。
それを地球上の物質と比べるなど、更に気の遠くなる作業だっただろう。
折りしも今日、近くのホールで「おかえりはやぶさ」という
映画と講演会があり、前から行くつもりだったところに
昨日のニュースで、入場者も多かった。
以前大阪私立科学館で見た映画であったが、今日はその科学館から
講演にこられていたので、恐ろしいほどどんぴしゃのタイミングだった。
聞きたいことがあり、後で質問コーナーがあれば良いと思っていたが、
その必要もないくらいに、知りたかったことを説明してもらえた。
約40分間の映画では細かいところまで伝えれないが、説明で
補足をしてもらって非常に良くわかった。
映画の最後のシーンは、想像のCGなのだが、実際に見た映像と
ほぼ同じで、目頭が熱くなってしまった。
映画の後に、その実際の映像を流してもらった時には、
あの夜の感動が蘇るとともに、その偉業を改めて感じた。
今回解析できたカプセルは、2つあるうちのひとつで、まだもう1個あるそうだ。
今回見つかった微粒子は1500個なので、合計3000個の微粒子が
見つかるかもしれない。
それを世界中で、更に解析して地球の起源の謎に迫るのだから
壮大なプロジェクトだ。
あの時には、「はやぶさ」は地球の大気圏に突入して燃え尽きて
しまうというミッションだと思っていたが、実は当初は
もっと離れたところからカプセルを打ち出して、「はやぶさ」自身は
地球の軌道から離れ、宇宙の彼方へと旅立つ予定だったらしい。
聞いていたかも知れないが、カプセルを無事に届ける為に、
自らの体を犠牲にして大気圏に突入するという話がクローズアップ
されていたので、最初からそうなのだと思い込んでいた。
故障やトラブルで傷ついた体で、予定通りに地球に向けて
カプセルを飛ばせないと判断し、「はやぶさ」自身が限界まで
地球に接近してカプセルを放つことになった。
しかし、その時点で地球の軌道から脱出する力は残っていないので、
大気圏に突入して燃え尽きてしまうことになったらしい。
ここまで頑張った「はやぶさ」に最後にもう一度地球の姿を
見せてやりたいということで、カメラを地球に向けるように
指示を出した。
姿勢を制御できなくなっていた「はやぶさ」は写真を撮るのだが
1回、2回と地球を捉えることは出来なかった。
そして最後のチャンスの3回目にようやく地球の姿を捉えて、
地球を見ることが出来たのだ。
それが発表されている「はやぶさ」からの最後の写真ということです。
その写真も下のほうが少し切れています。
これは撮ったデーターを地球に送っている最中に、大気圏に突入し、
そこでデーターが途絶えてしまったからだということでした。
この話を聞くと、更に「はやぶさ」に対していとおしくなってきます。
1回目にイトカワに着陸した時に、姿勢を崩して不時着し、
約40分間留まっていたのも、その時が一番地球から遠く、
通信に20分かかっていたから、往復で40分かかってしまったそうです。
「はやぶさ」は自分で考えて行動できるのですが、その時には、
一人でもがいていたようです。
地球からの離脱指令でどうにか離れたのですが、その暑い中に
40分もいたことが「はやぶさ」にとってダメージを与えたかもしれません。
イオンエンジンの仕組みも良くわかり、だめになったエンジンを
組み合わせて一つのエンジンにしたというのもわかりました。
イオンエンジンは、電子を放出する口と、推進するためのイオンを
放出する二つの口が必要で、壊れてしまった4個のエンジンの内、
発射直後に壊れたエンジンの電子を出す口と、最後の方で壊れた
イオンを放出する口が大丈夫だったエンジンを繋ぎ、一つのエンジンとして
組み上げたそうです。
本来なら、それぞれを繋ぐことは、その分だけ重量も重くなる為に、
やらない予定だったらしいのですが、エンジンの開発をした教授がこのようなことを想定してあらかじめ繋ぐ回路を
作っておいたようです。
それがまさか最後になって有効になってこようとは、誰も予想
していなかったことでしょう。
こんなエピソードを聞きながら、改めて「はやぶさ」の旅が、
奇跡の連続だったことがわかりました。
最後に言っておられましたが、「はやぶさ」は最後まであきらめない
ということを教えてくれた。
こころからおめでとうと言いたいです。
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